寒いと風邪をひくのはなぜ?その理由と対策とは
木枯らし吹き荒れる寒い冬はもちろんのこと、季節変わりの夜空など肌寒くなる時があります。
そんな時気になるのが、「寒いと風邪をひく」ということ。
みなさん風邪などひいていませんか。
筆者はいつも元気いっぱいなのですが、問題は子ども達。
気温が急激に下がり始める夕方になっても、半袖一枚で公園を走り回ります。
そんな時によく言う言葉がこれ。
「ほら、風邪ひくから上着きなさーい!」
でもよくよく考えてみてください。
なぜ寒いと風邪をひくんでしょうか?
調べてみました。
「風邪をひく」とはどんな状況か?
風邪とは
そもそも「風邪」とはなにか?
それは、一般的に鼻水や咳、発熱などを伴う体調不良を総称したものです。
では、鼻水や咳、発熱はなにかというと、これはいずれもウイルスや細菌の侵入から体を守るための免疫反応によるものです。
稀に、花粉など特定の物質に対して同じような免疫反応を示してしまうことがありますが、こちらは別名アレルギー反応として知られていますよね。
今回の場合で言うと、風邪をひくということはウイルスや細菌などに感染した状態と考えるのが自然です。
「風邪をひく」とは
実は、人間の体は日々あらゆるウイルス・細菌にさらされ、常に病原菌が侵入しようとする脅威にさらされています。
それでも風邪をひかないのは、人間が持つ免疫反応が非常に優秀だからです。
例えば、とあるウイルスが喉に付着したとしましょう。
風邪をひくということは、付着したウイルスが喉で増殖し、付近の細胞を傷つけることによって炎症反応が起きるということです。
実はウイルスが喉に付着すること自体は日常的に起きています。
しかしながら、それでも風邪をひかないのは大抵の場合ウイルスが喉に付着して増殖を始めた段階で、人間の免疫反応によりボコボコに駆逐されてしまうからなのです。
人間って素晴らしい!
寒いと風邪をひくのはなぜか
結局、「寒いと風邪をひく」のは気のせい?どうなの?
実は昔からその議論はされているようで、いくつかの研究・論文もでているようです。
諸説あるようですので、1つずつ紹介していきましょう。
「ウイルスが増殖に得意な温度がある」説
大人の風邪は、その半分程度がライノウイルスによるものとされています。
(参考:横浜市衛生研究所)
このライノウイルス、増殖に最も適した温度が33度だそう。
よく知られている人間の体温に比べ、少しだけ低いと思いませんか?
実は、喉や鼻の粘膜付近が丁度33度前後のようで、結果的にライノウイルスは喉や鼻で暴れまわり風邪をひくという寸法です。
しかしながら、このライノウイルスに関して言えばもともと喉や鼻の温度は増殖に適している状態なわけです。
冬だから、寒いから、というわけではないですよね。
外気温の寒さに関して言えば、直接的な関連は低そうです。
「ウイルスが飛び回りやすい」説
基本的に、ウイルスの感染経路は接触感染(感染した人の鼻水や唾などに触れる)もしくは飛沫感染(感染した人の鼻水や唾が空気中に飛び、それを吸い込む)とされています。
特に冬は空気が乾燥しますので、空気中に飛び出した感染源は長時間浮遊する傾向にあります。
長時間飛び回れるということは、必然的にそれを吸い込んでしまう確率も上がるわけですね。
これが、冬に風邪をひきやすいと言われる代表的な原因です。
しかしながら、やはり人が寒いと感じることと、風邪との因果関係がわかりません。
「寒いと密閉された部屋に人が多くなる」説
寒い冬、必然的に暖房の効いた暖かい部屋で過ごすことが多くなりますよね。
風邪のウイルスが感染を成立させるためには、飛んでいるウイルスが口や鼻などから侵入する必要があります。
しかしながら、屋外であればよほど顔を近づけてくしゃみや咳をしないかぎりウイルスが直接鼻や口から侵入することは難しそう。
それが、冬という季節、暖かい部屋で人間が密集した空間であればどうでしょう。
誰かひとりでも風邪をひいた人間がいて、その人がくしゃみをしようものならたちまちその場にいる他の人々の鼻や口から侵入してしまいます。
もちろん免疫反応が感染成立を阻止しますが、侵入のチャンスが増えるということは、感染成立のチャンスも増えるということです。
こういった理由もあるかもしれません。
「寒いと免疫力が弱まる」説
少し寒いと感じる程度ではほとんど影響がないかもしれませんが、いわゆる底冷えと言われる現象でしょうか。
体の芯から冷えてしまっているようなとき、あなたの病原菌に対する免疫反応、、いわゆる免疫力が落ちてしまっているかもしれません。
免疫力が落ちてしまう原因は様々ですが、最も考えられるのは自律神経の乱れによるものです。
人間の体はもともと、意識せずとも色々な調整を体が行ってくれています。
例えば体温調整もその1つ。
暑ければ汗などで体を冷やし、寒ければ体を震わせて温めます。
こうした調整は全て自律神経が行っていますが、例えば暖房の効いた部屋と寒い外を頻繁に行き来していると自律神経が過剰に働いた状態が続き、それが行き過ぎれば自律神経は疲労し、調整機能が乱れてしまいます。
ひとたび自律神経が乱れてしまうと、体温調整などはもちろんのこと免疫系の反応も乱れ、結果として免疫力が落ちてしまう可能性があります。
さて、では免疫力が落ちるということはどういうことか?
それは、ウイルスなどの感染が成立しやすいということです。
普段であれば感染がなかなか成立しないライノウイルスも、免疫力が落ちることにより体の防衛機能が弱まり、感染が成立してしまうということがあるかもしれません。
「寒いと風邪をひく」かどうかの実験
実際に「寒いと風邪をひく」のかどうか、実験したという興味深い記事を見つけました。
実験内容は、意図的に体を冷やして風邪をひくかどうか、という研究をしたというものです。
平成17年に報告されたもので、年に2回くらい風邪をひくという18歳以上の健康な180人(平均年齢20歳)を対象に行った研究です。
対象者を、10度の水が入った約10リットルの容器にはだしで20分間足をつけて体を冷やすグループと、靴下と靴をはいたまま空の容器に足を入れる冷やさないグループに分け、4~5日間の風邪の症状について2つのグループで差があるかを比べました。
~中略~
結果は、冷やしたグループは合計が平均5・16点、冷やさないグループは同2・89点と、2点以上の差があり、冷やしたグループで風邪の症状が多いといえます。
(産経ニュース:「冷え」は風邪の原因か より)
この記事によると、健康な人180人に対して体を冷やす実験を行い、体を冷やしたグループとそうでないグループで風邪のひき方に差がでるかどうか調査したというものです。
結果的には明確な差がでたそうで、実験的に「寒さにより風邪をひく」ということは証明できたということです。
これがそのまま現実世界に当てはまるかどうかはまた別の話ですが、少なくともこういったように「寒いと風邪をひく」という研究は昔からされているようです。
風邪をひかないようにするためには?
さて、今までさんざん「寒いと風邪をひく」ということについて言及してきましたが、結局のところ「風邪をひかないためには」どうすればよいのでしょうか。
これは、今までご紹介してきた内容と逆のことをやれば良いということに尽きますね!
すなわち、
- 菌やウイルスが体の中に侵入することを防ぐ
- 万が一侵入してしまっても、免疫反応で対処できるようにする
ということです。
冬場は菌やウイルスが飛び回りやすい環境なので、あまり人の多い場所には出向かない、出向くのであればマスクを着用し、うがいや手洗いを徹底するということがまず1つ。
これで菌やウイルスが体の中に侵入してくるチャンスをかなり減らすことができるはずです。
※最新の研究では、うがいよりも水をこまめに飲むことが有効とされています。
また、温かい恰好をして睡眠や食事などの日常生活に気を配り、免疫力を低下させないよう注意することが重要です。
まとめ
以上です。
本日は、寒さと風邪の関係について調べた結果をご紹介しました。
結果的に「寒さ」と「風邪」の間にある明確な関連性を見つけることはできませんでしたが、いずれにしても寒い季節は風邪をひきやすいというのは事実のようです。
また、是非覚えていただきたいのは「寒さ」そのものが風邪をひきやすくさせるわけではなく、あくまで風邪はウイルスや細菌の感染が成立することにより起こるものだということです。
「風邪をひかないようにするためには?」でも述べましたが、最も重要なのは手洗い、うがいをこまめにすることと、むやみに人の多い場所に行かないことです。
自分が風邪になるだけならまだしも、家族や友人にまで風邪をうつしたくないですよね!
みんなで気を付けて、快適な冬を過ごしましょう。
では今日はこのへんで!